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酔狂アディクション

映画や東方Project、でんぱ組.inc、アメコミ、トランスフォーマー、クトゥルフ神話などについて書き連ねます。

キングコング 髑髏島の巨神 レビュー & 解説(先行上映 ネタバレあり)

 先日3月22日、日頃から利用させていただいているアメコミ、映画グッズショップ『豆魚雷』様より抽選でご招待頂いた『キングコング 髑髏島の巨神』の先行上映に行ってきましたので、簡単に映画内容をご紹介します。記憶のみを頼りにしているため、細かい間違いや時系列のミスなどがあるかと思います。順序立てては書いていないため読みにくい部分もございます。また、タイトルのとおり、ネタバレ要素が多分に含まれますので、御理解の上お願い致します。

 

youtubeチャンネル フィギュアレビューをしています。ご興味があればご覧ください。

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葉月 (@Yoteicyouwa) | Twitter

 

 さて、キングコングは多くのSFモンスターの中でも非常に歴史が長いキャラクターであり、初出は1933年です。その後続編やリメイクが数作品ありますが、今回はモンスターバースの一作品として、『ゴジラ GODZILLA』(2014)との関連性がある作品となっています。劇中でそちらの要素がどのように登場するかも注目です。

 

◎おおまかなストーリー 

 冒頭シーンでの舞台は第2次世界大戦の1944年。米国人のマーロウと日本人グンペイは南太平洋の島に不時着し戦闘に入りますが、崖の下より現れた巨大生物により、中断を余儀なくされます。

 

 舞台は1973年に移り、米国役人のビルは未知の島である髑髏島の調査を主張します。腕利きの軍人のコンラッドや女性カメラマンのウィーバー、科学者などからなる調査団を結成し出航、激しい嵐を乗り越えヘリコプターで髑髏島に新入することに成功します。調査のための道具は大規模な爆発を起こすもので、それによって突如現れたコングにより、多くのヘリは撃墜されます。予想外の出来事に、米軍大佐のパッカードは調査団の真の目的を問いただし、機密機関であるモナークの関与および巨大生物の存在を聞き出します。

 

 バラバラに散った生存者たちは合流するため森を抜けることになります。コンラッド達のグループは森の奥地で原住民達の居住区に立ち入り警戒されますが、戦時中から原住民たちと共に暮らしていたマーロウ(冒頭の人)により住民の理解を得て島のこと及びコングはトカゲ(スカルクロウラー)などから住民を守っており神として崇拝されているのことを知ります。この際、ウィーバーは撃墜されたヘリに挟まれているスカーバッファローを救出しようしたことで、現れたコングに助けられます。

 一方パッカード達のグループは生存者の捜索とヘリの武器を求め竹林に入り込みます。メンバーの一人が刺殺されているのを見て、竹木が巨大な蜘蛛(Mother long legs Spider)の脚であるとわかり交戦に入り討伐に成功します。

 他所、生存者の一人であるチャップマンは川辺でコングの休息を目撃します。コングが川に手を差し入れると巨大なイカ(Mire Squid)がコングに絡みつき交戦に入ります。コングはイカの頭部を踏み潰し触腕を捕食します。チャップマンは森のなかに逃げ、倒木に腰掛けます、それはカマキリ(Spore Mantis)で驚いたチャップマンは数発発砲します。カマキリは特段抵抗せず逃げ出しましたが、それは背後にスカルクロウラーが迫っていたためで、チャップマンは捕食されます。

 

 コンラッドたちは戦時中、マーロウが戦闘機のパーツから作ったジャンク船を修理し、川を下ります。途中小型翼竜(LeafWing)による襲撃を受け一人が殺害されます。

 コンラッド達とパッカード達は合流しますが、チャップマンの捜索をすべきというパッカードと他のメンバーの意見は食い違いトラブルになります。

 一行はスカルクロウラーの襲撃を受け、吐瀉物にドッグタグと消化された頭部が含まれていたことによりチャップマンの死を認め、火炎放射器や爆薬で数頭のスカルクロウラーを討伐、撃退します。

 パッカードは部下の死の復讐を決意し、元凶であるコングと戦うことを決意、水面に油を巻いたことにより全身を焼かれコングは倒れ込みます。爆薬を仕掛けトドメというところでコンラッド達による威嚇で爆発を諦めたように見えましたが、落とした起爆スイッチを拾うところでコングに叩き潰されパッカードは死亡します。

 

 日が昇り一行が移動していると、より巨大なスカルクロウラーの個体が現れ、コングと激戦を繰り広げます。ふっとばされた際にチェーンに絡むなどコングは圧倒されていましたが、人間たちの援護もあり、プロペラを利用しスカルクロウラーの喉を切り裂きます。戦闘時の衝撃で水中に落ちたウィーバーをすくい上げた際、絶命していなかったスカルクロウラーに噛みつかれますが、最終的に舌ごと内臓を引きずり出し完全に倒します。マーロウが家族のもとに帰る様子が映り、クレジットになります。

 

 エンドクレジットではコンラッドウィーバーモナークにより拘留されており、コングは唯一の巨大生物ではないことを教えられ、壁画の映像を見せられます。壁画には翼竜ラドン)、巨大蛾(モスラ)、そして三頭の龍(キングギドラ)とゴジラが向かい合っている様子が示され、ゴジラの咆哮が鳴り響き物語は終わります。

 

◎感想、雑記(『キング・コング』(2005)との比較を中心に)

 今回のキングコングでは、冒頭からいきなりコングが出現するなど、全体的にテンポよく事が進みます。序盤、メイン登場人物であるコンラッドウィーバーやパッカードが登場する際も、特に深い人間描写などに時間を割くことはなく、最低限のキャラ付け程度に留まっています。多くの視聴者がこの手の映画に求めるのは、登場人物の人間性や心理描写より、魅力的なモンスターたちの戦闘でしょう。もちろん人物描写もあるに越したことはないのですが、重要性の比率としては、モンスターが圧倒的に上であることは疑いようはありません。2005年版のキング・コングでは、全体が3時間と非常に長かったこともありいざ最初にコングを目にできるまでに並の映画一本分程度の時間はかかったような気がします。そういった面で早くからコングを見せさっさと髑髏島に上陸したのは良かったと思います。

 

 パッカードは復讐に執着するなど、部下を殺された恨みはわかりますが、やや融通の聞かない人物として描かれています。しかしいくら軍の人間で、コングと人間を直接対決させるためのキャラと言え、名優サミュエル・L・ジャクソンの演じるキャラをネタ風に殺すとは全く思いもよりませんでした。てっきり自分はコンラッドと並び主人公格として生き残るものとばかり思っていたため驚きました。

 

 従来のキング・コングとの共通点はさほど存在しないように感じます。たとえば、2005年および1933年版ではレックスの顎を裂いた後、パカパカさせるのが印象的です。スカルクロウラーに対してもするのかと思っていましたが、しませんでした。

 また、キング・コングでは、エンパイアステートビルに登り戦闘機と戦い死亡する下りが非常に有名です。しかし今回はコングをニューヨークに連れて行く下りはまるまる存在しないため、コングは終始ホームグラウンドにて戦うことが出来ました。今回は自然(コング)は人類によって征服はされなかったのです。

 キング・コングシリーズにおいて、コングと人間女性の間の交流は大きなポイントです。今作でもウィーバーとの間に交流は描かれます。1つ目は夜、コンラッドウィーバーが崖際で話していると、コングが登場し見つめ合うシーン、2つ目がウィーバーが撃墜されたヘリに挟まれたバッファローを救出しようとしているのを、コングが力添えするシーン、そして最終決戦で水に落ちたウィーバーをすくい上げるシーンです。ただこれらは結構な時間一緒にいた2005年版と比べ、非常に交流の度合いは少ないといえます。そもそも今作でのコングは特にウィーバーに恋をしているような描写はありません。最終戦で助けたのも、バッファローを救出しているのを見たことで無害な存在だとわかったからにすぎないでしょう。今作のコングはさほど人間という存在を特別に意識してはいないようです。これは2014年版ゴジラでのゴジラの描かれ方にも共通していますね。 

 また、日本の作品に影響を受けた要素が含まれていることも注目に値します。例えばスカルクロウラーの頭部はエヴァンゲリオンの使徒、千と千尋の神隠しカオナシをモチーフにしているということ、映画全体にはもののけ姫の雰囲気を入れたとのことです。なるほど確かに言われてみればスカーバッファローなどはもののけ姫の自然描写とヤックルを足した感じですし、マザーロングレッグスパイダーもナウシカの蟲にいそうな感じです。

 

 モナークや原住民の壁画は、かなり強くモンスターバースを意識した演出といえます。今作だけでは解決されない要素を散りばめることで、今後の作品との結びつきは強くなるわけです。はじめに人物描写が少ないと述べましたが、それに対しコングや髑髏島に関する描写はかなり豊富だといえます。これはアンやデナムの描写が多くコングの描写はさほど多くない2005年版と対照的に感じられます。

 

◎モンスターについて

 モンスターたちは、コング相手しかり人間相手しかり、スカルクロウラーを除いては基本的に割とあっさり倒されています。

 蜘蛛は脚をスパスパ切って銃撃で倒されましたし、イカは踏み潰されてそれで終了です。特にイカはかなり期待していたこともあり、もう少し長く戦ってほしかった気持ちもあります。

 他無害なモンスターもいて、カマキリ(というより、ナナフシに似てます)やバッファローは髑髏島は凶暴なものだけでなく、のんびりとしたものもいるという生態系を垣間見れました。

 巨大生物達と人間の戦闘シーンおよび捕食シーンは、モンスター映画におけるハイライトの一つですが、今回のモンスターは2005年版と比べわりと生理的嫌悪感をなしに、それこそ怪獣として見られるような物が多かったなあと思います。

 2005年版コングで特筆すべきは谷底の昆虫たちのシーンです。1mはある巨大なカマドウマに群がられるシーンは恐怖ですし、沼地のカルニティクス(ピンクで口が伸びるワーム)に四肢を食われるシーンは多くの映画の中でもトップクラスに嫌な死に方の一つでしょう。また倒木の中の巨大ムカデも、虫が苦手な人には鳥肌モノです。

 今回は蜘蛛が登場しますが、前述の2005年版の昆虫の最大の違いはやはり大きさです。大きすぎるものより、変に等身大に近かったり身近な大きさであるほうが、より恐ろしさは増すのでしょう。

 

・コングについて

 今回のコングの大きな特徴は、30メートルの巨体と完全な直立二足歩行をしていることでしょう。2005年版のコングはナックルウォークでゴリラがそのまま巨大化したと言った風体でしたが、今回のコングはゴリラとはまた異なる巨大類人猿、といえるような描かれ方です。体色がややブラウンがかっている点も目を引きます。

 また、今回のコングは多くの道具を駆使していいました。序盤のヘリとの交戦時も、いきなりコング自身が攻撃するのではなく木や岩を投擲することでヘリを撃墜していましたし、スカルクロウラーとの最終戦でも引っこ抜いた木を打撃武器として使ったり、(ここは『パシフィック・リム』のタンカーシーンを思い出しました)、チェーンとプロペラを切断武器として扱ったりもしていました。道具の使用というのは知性を感じされる要素として大きいといえます。

 

・原住民と壁画、ゴジラについて

 さて、コングと合わせて考察すべきなのは原住民です。2005年版のキング・コングでの原住民は、トランス状態で白目むき出しであったり、深夜に船に忍びこみ誘拐をはたらくなど非常に恐ろしく描かれていましたが、今作ではどうでしょう。初対面時にせいぜい槍を向けられた程度のもので、もちろんマーロウの存在が大きく関わっていますが、ほとんど敵意や接触を拒んでいる様子などはありませんでした。

 原住民の容姿も特徴的です。南太平洋の島という設定を踏まえてか、勝手な印象ですが人々はフィリピンやミャンマーといった、東南アジア系の雰囲気を感じました。また言葉や表情なしに意思疎通をしているというのも独特の設定です。

 彼らの壁画からは今後のモンスターバースにおいてかなり重要な要素が読み取れます。まず、コングには両親がいたということ。当然生物なわけで両親はいるにきまっているのですが、スカルクロウラーの巨大な個体によって殺されたということまで解説され明確な描写があるのは珍しいです。

 またコングの種族はあるときから人間を守るようになったこと。何故コングの種族は人間を守るようになったのでしょうか。これは劇中で語られていなかったような気がします。今後の解説が待たれるところです。

 そしてエンドクレジット後の映像。近年の作品とりわけアメコミ映画ではエンドクレジット前、および後の映像というのはおなじみになっていますが、その手法を上手く導入しています。壁画にはラドンモスラキングギドラ、そしてゴジラという名だたる怪獣がズラリと描かれているわけですが、ではどうして髑髏島の祖先にあたる人はゴジラを目撃できたのでしょう。ここにキングギドラの存在が一枚噛んでいると思います。想像ですが、ゴジラらと異なり、キングギドラは基本的に宇宙怪獣として描かれています。つまり、髑髏島の祖先の世代に、キングギドラは髑髏島に飛来したのでしょう。2014年版ゴジラでは、ゴジラは生態系のバランスを保つ役割を担っておりバランスが崩れると現れる、といったことも言われています。つまり、キングギドラの飛来に合わせゴジラも復活した、そしてそれを目撃した住民が壁画に記した、と考えられます。

(個々のモンスターたちについてや、ゴジラやギドラたちの壁画については、結構考察の余地があり記したいことがあるのですが、それはまた機会が合ったらとします)

 

今作は述べてきたように、1作品として完結というより、今後の作品群における展開に必要な要素を多く含んでいるという点、しばしば使用される軽快な音楽があいまって、『スーサイド・スクワッド』を彷彿とさせました。

 単体作品やストーリーとしては、個人的には2005年版に軍配が上がるかと思いますが、こちらでは戦闘描写が多いため面倒なこと抜きに単純に楽しめるものとなっていました。今回はこのあたりにしておきます。 

 

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